「バンカーの水たまりに入ってしまった」「バンカーから出せない時、どんな救済方法があるの?」そう思う人もいるのではないでしょうか?
実は、2019年のゴルフルール改正により、バンカーでの救済方法が緩和され、2打罰を受け入れることでバンカーの外に出すことも可能になりました。
この記事では、バンカーでの新ルールに基づく救済方法や、完全な救済のニヤレストポイントの正しい決め方など、詳しく解説していきます。
- バンカーに関して基本ルールの変更点
- バンカー内の水たまりからの救済方法
- バンカーのアンプレヤブルの4つの選択肢
- バンカー攻略と救済選択のポイント
バンカーに関して基本ルールの変更点

2019年の改正により、バンカー内での行動制限が見直され、プレーの円滑化とゴルフの普及を目的にルールが緩和されました。
主な変更点は以下で紹介します。
バンカー内のルースインペディメントの取り扱い
バンカー内のルースインペディメント(自然物)を自由に取り除けるようになりました。
これには落ち葉、枝、石、虫などの排泄物などが含まれます。
ただし自然物を取り除く際に、ボールが動いた場合は1打罰となります。
- 落ち葉や枯れた植物
- 小枝や木の実
- 石や小さな岩
- 昆虫や動物の排泄物など
クラブでバランスを取るために、砂に触れても罰はありません。
ただし、ボール近くでクラブを地面につけたり、砂の状態をテストする行為は引き続き禁止されています。
ルール改正によって、不要な障害物に悩まされなくなり、集中してバンカーショットに臨めます。
バンカー内のプレー時の注意点
新ルールによりバンカー内でのプレーがしやすくなりましたが、以下のような行為は依然として2打罰の対象です。
- ボールの直前にクラブをソール(地面につける)する
- 砂の状態をテストする目的でクラブを触れる行為
- 練習スイングやバックスイング時に砂に触れる行為

バンカー内の水たまりからの救済方法

雨天や早朝のラウンドでは、バンカー内に一時的な水たまり(テンポラリーウォーター)が発生することがあります。
このような場合、無罰で救済を受けることが可能です。
ニアレストポイントを同じバンカー内で決定し、完全に水たまりを避けた位置にドロップを行います。
雨天や早朝のラウンドでは、バンカー内に一時的な水たまり(テンポラリーウォーター)が発生することがあります。
このような場合、無罰で救済を受けることが可能です。
ニアレストポイントを同じバンカー内で決定し、完全に水たまりを避けた位置にドロップを行います。
ただし、バンカー全体が水没している場合は、特別な救済措置としてバンカー外への無罰救済が認められています。
①一時的な水たまり(テンポラリーウォーター)の解釈
バンカー内の一時的な水たまり(テンポラリーウォーター)とは、雨や散水後に形成された水の集まりを指します。
プレーヤーのスタンスエリアやボール周辺に水が目視できる状態であれば、無罰で救済を受けられます。
テンポラリーウォーターとして認められる条件
- 水が目視できる状態
- 雨や散水など一時的な原因で発生した水である
- プレーヤーのスタンスやボール周辺に水がある
一時的な水たまりは、単なる湿った砂や流水の跡だけでは救済対象になりません。
朝の早いラウンドで、バンカーに水が溜まっている場合や、雨天後のプレーでボールが水たまりの中や縁に止まっている状況が対象になります。
スタンスを取ろうとすると、靴が水に浸かるような状態も救済の対象です。
この救済ルールにより、不公平な状況から抜け出し、無罰で救済が受けれるので不利な状況を抑えながらプレーを続行できます。
②水たまりからの救済の手順

バンカー内の水たまりから救済を受ける際は、以下の手順になります。
- 完全な救済のニアレストポイント(基点)を決める
「基点」は、元のボールと同じバンカー内で、水たまりから完全に離れた最も近い地点
完全な救済とは、スタンスも含めて水たまりにかかっていない状態 - 「基点」から1クラブレングス以内の範囲で、ピンに近づかない位置にボールをドロップ
- ドロップしたボールが救済エリアに止まらない場合、2回目のドロップ後は、最初の地面に触れた位置にプレース
ボール位置とスタンスすべてが、水たまりにかかっていない状態でなければ完全な救済にはなりません。
使用するクラブで1クラブレングスを測定し、救済エリアに膝の高さからドロップします。
この正しい手順で救済を受け、ペナルティを避けながら公平な条件でプレーします。
③水たまりでバンカー全体が水没している場合の救済
大雨などでバンカー全体が使用不能になった場合、バンカー外での救済が無罰で可能です。
ホールとボールを結ぶ後方線上に基点を設け、そこから1クラブレングス以内でピンに近づかない範囲にボールをドロップします。
この特別なケースでは、以下の手順で救済を受けられます。
- ホールとボールを結んだ延長線上でバンカー後方に基点を決める
- 選んだ地点から1クラブレングス以内にドロップ
- ピンに近づかない位置を選ぶ
この救済方法が適用される状況は、大雨後にバンカー全体が水没している場合や、排水不良のバンカーで全体が水浸しになっている場合などです。
この救済ルールにより、極端な悪条件下でも公平にプレーを続けられます。
バンカーのアンプレヤブルの4つの選択肢

2019年のゴルフルール改正により、バンカー内でボールが打てない厳しい状況での選択肢が拡充されました。
現在は次の4つの救済方法があります
- 選択肢1:元の位置からの再プレー(1打罰)
- 選択肢2:同一バンカー内での位置変更(1打罰)
- 選択肢3:バンカー内後方線上救済(1打罰)
- 選択肢4:バンカー外後方線上救済(2019年新規追加・2打罰)
これらの選択肢は、ゴルファーがバンカー内で厳しい状況に直面した場合の4つの救済方法です。
①選択肢1:元の位置からの再プレー(1打罰)
バンカー内のアンプレヤブルの最初の選択肢は、1打罰を受けて元の位置から再プレーします。
- 前回のショット地点に戻り、1打の罰を加えてプレー
- ティーショットならティーアップ可能
- メリット:打ちやすい状況に戻れる、罰打が少ない
②選択肢2:同一バンカー内での位置変更(1打罰)
2つ目の選択肢は、1打罰を加えて元のボール位置と基点に、2クラブレングス以内の同じバンカー内の位置にドロップします。
- 元のボール位置を基点に、2クラブレングス以内のバンカー内にドロップ
- ホールに近づかない位置を選ぶ必要あり
- メリット:バンカー内の悪いライ(足跡や斜面など)を避けられる
③選択肢3:バンカー内後方線上救済(1打罰)
3つ目の選択肢は、1打罰を加えてホールとボールの後方延長線上の同じバンカー内にドロップします。
- ホールと元のボール位置を結ぶ線をバンカー内で後方に延長した線上にドロップ
- どこまでも後方に下がれるが、同じバンカー内に留まる必要あり
- メリット:ショットの角度改善、バンカー内の障害物を回避する
④選択肢4:バンカー外後方線上救済(2019年新規追加・2打罰)
4つ目の選択肢は、2打罰を加えてバンカー外のホールとボールの後方延長線上にドロップできます。
- ホールと元のボール位置を結ぶ線上で、バンカーの外側にドロップ
- ペナルティは2打と重いが、確実にバンカーから脱出できる
- メリット:バンカーショットが苦手なプレーヤーに特に有効
各選択肢の有効な場面
①元の位置からの再プレーが有効な場面:
- フェアウェイからの良いライでショットした後、バンカーに入った場合
- ティーショットがバンカーに入った場合
②バンカー内位置変更が適している場面: - バンカー縁に近すぎる場合
- 水たまりや急斜面など、特に悪いライを避けたい場合
③バンカー内後方線上救済が役立つ場面: - ホールとの角度を改善したい場合
- バンカーが広く、後方に十分なスペースがある場合
④バンカー外後方線上救済が最適な場面: - 初心者ゴルファーやバンカーショットに自信がない場合
- 深いバンカーや極端な斜面での困難な状況
- バンカーで大叩きを避けたい重要な場面
これらの選択肢を状況に応じて適切に活用することで、バンカーでの苦戦を最小限に抑え、スムーズなゴルフプレーが可能になります。
バンカートラブルへの対処法と戦略的な判断

バンカーに入った際の対処法は、単なるルール知識だけでなく、状況を見極めた戦術的な判断力が試されます。
最適な選択をすることで、無駄なスコアロスを防ぎ、メンタル面でも安定したラウンドが続けられるでしょう。
判断材料として考慮すべき点:
- バンカー自体の特性(深さ・砂質・形状など)
- 自身のバンカーショットの技量
- 現在のスコア状況とリスク許容度
- グリーンまでの残りの距離と周囲の地形
場面別の最適な救済方法
バンカーでのアンプレヤブルでは、さまざまな要因を考慮して最適な救済方法を選ぶことが重要です。
状況別での救済方法
- バンカー縁際でのトラブル
縁に近い位置に止まった場合は、バンカー内後方線上(選択肢③)での救済や、状況によっては2打罰を覚悟してバンカー外へ出す(選択肢④)も価値があります。
壁に向かってのショットは難度が高いため、適切な救済が効果的です。
バンカー内後方線上救済(選択肢③)やバンカー外後方線上救済(選択肢④)が有効
バンカーの壁に向かって打たなければならない状況を避けられます - 浅いバンカーでの不利な状況
バンカーショットに自信がある場合や前回の打点が良かった場合は、1打罰で元の位置からの再プレー(選択肢①)が妥当です。リスクを避けつつ、最小限のペナルティで対処できます。 - 深いバンカーでの厳しい状況
脱出が極めて困難と判断される場合、2打罰でもバンカー外に出す(選択肢④)決断が長期的には有利な場合があります。一時的なペナルティよりも、連続して失敗するリスクを回避する戦略です。 - バンカー内の斜面上の難しいライ
急斜面に止まった場合は、バンカー内での位置変更(選択肢②)や後方線上救済(選択肢③)を検討します。平坦な場所からのショットを選べば、成功率が格段に上がります。 - 重要な局面での判断
スコアに余裕がある場合は1打罰の選択肢(①②③)を優先し、勝負どころでは確実性を重視した判断が求められます。状況によっては2打罰のバンカー脱出も戦略的選択になり得ます。
スコアを守るための実践戦略
バンカーでのアンプレヤブルでは、リスクを考えた戦略が重要になります。
スコアを守るための実践戦略
- 基本は最小ペナルティを目指す
原則として1打罰の選択肢を優先し、最小限のダメージでの脱出を目指しましょう。
ただし、成功確率と合わせて判断することが肝心です。 - 次のショットの可能性も視野に入れる
目の前のショットだけでなく、救済後の次のショットも考慮した総合的判断が重要です。
例えばパー5のセカンドショットでバンカーに入った場合、1打罰で安全に脱出し、次の1打で攻める戦略が有効なケースでしょう。 - 残り距離に応じた判断
グリーンまでの距離が短いか長いかによって、最適な選択は変わります。
ショートホールのサイドバンカーでは、そのままバンカーショットを打ったほうが合理的な場合も多いかもしれません。 - メンタル面への配慮
技術的に困難なバンカーショットよりも、2打罰を受けてでも確実性の高い選択をすることで、メンタル的な安定感が得られ、結果的に良いスコアにつながる場合があります。
特に一度失敗すると大きなスコアロスにつながりかねない状況では、確実な方法を選ぶ判断も重要です。
このような長期的な視点で判断できれば、状況に応じた柔軟な戦略が可能です。
ただしゴルフの基本は「あるがままで打つ」という考え方も大切です。
この精神はゴルフの本質を表しています。
まとめ
2019年のルール改正で広がったバンカーでの選択肢を理解し、自分の技量や状況に応じて判断ができるようになれば、バンカートラブルも怖くありません。
賢い判断を積み重ねることで、バンカーに対する恐怖心も軽減され、ゴルフがより一層楽しめます。
ゴルフの醍醐味は、状況に応じた戦略的判断にもあります。
バンカーを味方につけて、より充実したゴルフライフを楽しみましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。