パッティンググリーン上のマナーは、あなたのゴルファーとしての評価を決定づける重要な要素です。
グリーン上での立ち振る舞いは、周囲の目に留まりやすく、同伴者との信頼関係を築きます。
ピッチマークの修復、パッティングラインへの配慮、静かな行動など、細やかな気遣いがスムーズで快適なラウンドを生み出します。
初心者が見落としがちなスルーラインや影の配慮まで、グリーン上のマナーを徹底すれば「また一緒にラウンドしたい」と思われる好感度の高いゴルファーに成長できるでしょう。
この記事では、パッティンググリーン上のマナーを徹底解説します。
- パッティンググリーンは繊細、丁寧な行動を心がける
- グリーン上で最初の一歩からマナーを意識する
- グリーン上で立ち位置と行動に細心の注意を払う
- パット時は気遣いがポイント
- ホールアウト後もスマートに行動する
- グリーン上の違反対応は穏やかに伝える
パッティンググリーンは繊細、丁寧な行動を心がける
以下は概要文の図解になります。
ゴルフ場のパッティンググリーンは最も繊細な部分です。
短く刈られた芝は、わずかな傷でもボールの転がりに大きく影響するでしょう。
このエリアでの振る舞いは、あなたのゴルフマナーを最も強く印象づけます。
丁寧な行動を心がけることで、同伴者に好印象を与えプレーの質も向上させます。
グリーンを大切にする姿勢が、あなたのゴルフマナーを豊かにします。
グリーン面を傷つけない

グリーンの芝を傷つけないことは、ゴルフマナーの基本中の基本です。
特に注意すべきなのが「ピッチマーク」の修復でしょう。
ピッチマークとは、ボールがグリーンに落下した際にできる凹みのことで、放置すると芝が枯れてしまいます。
自分のボールがつけたピッチマークは必ず直すようにしましょう。
グリーンフォークを使い、凹みの外側から中心に向かって芝を寄せるように修復するのが正しい方法です。
決して真ん中から持ち上げるような動作をしてはいけません。
それでは芝の根を傷めてしまいます。
さらに余裕があれば、ほかの人が直し忘れたピッチマークも、修復する心遣いができると同伴者からも一目置かれます。
美しいグリーンを維持するのはプレーヤー全員の責任です。
- グリーンフォークをボールマークの外側に差し込む
- 中心に向かって土を寄せられるように持ち上げる(掘り返さない)
- 複数の方向から同じ作業を繰り返す
- 最後にパターの裏などで軽く押さえて平らにする
- スパイクによる芝の損傷を防ぐため、慎重に歩く
- グリーンフォークでのボールマーク修復を必ず行う
- クラブを直接グリーン上に置かない
- カートやキャディバッグはグリーン周辺の場所に置く
走らない・クラブを引きずらない
グリーン上では、絶対に走らないでください。
急いでいるときや、素晴らしいパットが決まって嬉しいときでも、決して走ったり跳ねたりしてはいけません。
グリーンの芝は非常に繊細で、走ることで致命的な傷がつくことがあります。
ゴルフシューズのスパイクを引きずって歩くことも止めましょう。
かかとをしっかり上げて、足全体を持ち上げて歩くことを意識します。
スパイクを引きずると、グリーン上に20〜30cmほどの直線状の傷ができ、ほかのプレーヤーのパットラインに影響を与えます。
同伴者のラインを避けて歩く
パッティングのときの、ボールとカップを結ぶ仮想の線を「ライン」と呼びます。
このラインは、ほかのプレーヤーのパッティングに大きく影響するため、絶対に踏んではいけません。
グリーン上を移動する際は、常に同伴者のボールの位置を確認し、そのライン上を通らないよう細心の注意を払いましょう。
どうしてもライン付近を通る必要がある場合は、ラインをまたぐように慎重に移動します。
特にプレーヤーの後方やライン上に立つのは、マナー違反です。
これらの心遣いができると、「一緒にラウンドしたい」と思われる好感度の高いゴルファーになれます。
グリーン上で最初の一歩からマナーを意識する

パッティンググリーンは、ゴルフコースの中で最も大切に扱うべき場所です。
ここでのマナーは、あなたのゴルファーとしての印象を決定づけます。
特にグリーンに足を踏み入れた瞬間から、意識すべきマナーがいくつかあります。
初心者ゴルファーの方は、スコアだけでなく、こうしたマナーも同時に学ぶことで、周囲から一目置かれる存在になれるでしょう。
グリーン上でのマナーは、ゴルフの醍醐味であるパッティングをより楽しむためにも欠かせない要素です。
ピンを立てたままパットができる
2019年のルール改正で大きく変わったのが、パッティング時のピン(旗竿)の扱いです。
以前は必ずピンを抜かなければなりませんでしたが、今ではピンを立てたままパットできます。
もちろん、従来通りピンを抜いてプレーする選択肢も残されています。
この変更により、同伴者がピンを抜いてプレーを見守る「アテンド」の必要がなくなり、テンポが格段に良くなりました。
ピンを抜く場合は、同伴者のプレーヤーの邪魔にならないようグリーン外に置くのがマナーです。
正確なボールのマーキング
グリーン上では、同伴者のパッティングの邪魔にならないよう、ボールを一時的にマークして拾い上げる必要があります。
マーキングはボールの真後ろに、ボールマーカーやコインなどを置いて行います。
このとき、必ずボールの真後ろにマーカーを置くことが重要です。
斜めや横にずれていると、元の位置に正確に戻せなくなります。
同伴者のパットラインにマーカーが位置している場合は、クラブヘッド1本分ほど横にずらすことができます。
この際、必ずクラブヘッドを基準にして距離を測り、パットが終わったら正確に元の位置に戻しましょう。
こうした正確なマーキングは、フェアプレーの精神にも繋がり、ゴルフの信頼関係を築く基本となります。
自分のボールがグリーンに乗ったら、すぐにマークする習慣をつけておくとスムーズなプレーが可能になります。
マーキングの手順は、以下の通りです。
- コインやマーカーをボールの真後ろ(ホールと反対側)に置く
- 丁寧にボールを拾い上げる
- 同伴者のプレーヤーのパットが終わったら、元の位置に戻す
- マーカーの位置をずらす必要がある場合は、クラブヘッドを使って戻す(後述で解説)
「レディプレー」でテンポよく
グリーン上でのプレーテンポを保つことも重要なマナーです。
「レディプレー」という言葉をご存知でしょうか。
これは「準備ができたプレーヤーから先に打つ」という考え方です。
特にパッティングでは、ホールから遠い人が先に打つというルール(遠球先打)がありますが、準備ができていれば多少の距離の前後は気にせず、テンポよくプレーすることが認められています。
自分の打番が来る前から、パッティングラインを読んでおく、グリーンの傾斜や芝目を確認しておくなど、事前準備を整えておきましょう。
パッティングに時間をかけすぎると、後続組に迷惑がかかるだけでなく、同伴者のストレスにもなります。
2019年の改正ルールでは、パッティングの制限時間として「40秒ルール」が推奨されています。
準備を整え、自分の打番が来たら40秒以内を目安に、パッティングを完了させる意識を持ちましょう。
「40秒ルール」についは、ルール編で紹介します。
グリーン上で立ち位置と行動に細心の注意を払う
以下はパッティングラインとスルーラインの説明画像です。

パッティンググリーンでは、立ち位置や行動が同伴者のプレーに大きく影響します。
特に初心者ゴルファーが見落としがちなのが、どこに立ちどう振る舞うかというマナーです。
グリーン上では、同伴者のパッティングラインだけでなく、スルーラインにも配慮し、視界や影にまで気を配ることが重要でしょう。
パッティングラインを踏まない
パッティングラインとは、ボールからカップまでを結ぶ線のことで、ゴルフマナーの中でも最も重要視される部分です。
このラインを踏むことは絶対に避けなければなりません。
なぜなら、スパイクの跡によってボールの転がりが変わり、パットの成功率に影響するからです。
グリーン上を移動する際は、常に周囲のボールの位置を確認し、同伴者のパッティングラインを横切らないルートを選びましょう。
どうしても通らなければならない場合は、ラインをまたぐように大きく一歩で越えるか、遠回りをして避けるのがマナーです。
特に傾斜のあるグリーンでは、ラインが曲線を描くこともあるため、より一層の注意が必要です。
初心者の間は「自分の行動が他人のパットに影響を与えないか」を常に考える習慣をつけましょう。
- 同伴者のパッティングラインを意識し、迂回する
- のパラインを確認する際も、軽く触れる程度に済ませる
- グリーン面を気にせず、足を引かずに丁寧に歩く
- カップとボールを結ぶラインとその延長線上も同様に踏まない
スルーラインも避ける
スルーラインとは、カップを通り越した先の仮想のラインのことです。
つまり、パットが強すぎた場合にボールが通るであろう軌道を指します。
パッティングラインと同様に重要で、このスルーライン上にも立ってはいけません。
特に下り傾斜のパットでは、ミスすると長いスルーラインができる可能性があるため、広めに避けることがポイントです。
初心者ゴルファーは、パッティングラインに気を配ることはあっても、このスルーラインを意識しないことが多いので要注意です。
グリーン上での立ち位置は、同伴者のボールとカップを結んだ線の延長線上や後方には立たないよう心がけましょう。
視界・影に配慮する
パッティングに集中しているプレーヤーの視界に入らないことも重要なマナーです。
特にプレーヤーの後方に立つのは避けましょう。
視界に入ることで集中力が削がれ、良いパフォーマンスの妨げになります。
日差しが強い日は自分の影がパッティングラインにかからないよう細心の注意を払いましょう。
影がラインにかかると、芝目の判断が難しくなり、ラインを正確に読むことができなくなります。
特に朝夕の影が長くなる時間帯は要注意です。
自分がどの方向に影を落としているかを常に意識し、必要に応じて位置を変えましょう。
ほかのプレーヤーへの思いやりが、あなたのゴルファーとしての評価を高めます。
静かに、動かずに待つ
パッティングは集中力が求められます。
そのため、同伴者がパットを打つ際は、静かに動かずに待つことが基本マナーです。
特に注意すべきは、パターカバーを外す「バリバリ」というマジック音、クラブが接触する音、話し声などです。
これらの音や動きは、繊細なパッティングの邪魔になります。
自分のパットが終わってもすぐに次のホールへ移動するのではなく、同伴者全員がホールアウトするまで静かに待ちましょう。
グリーン上では、普段より小さな音も目立つことを忘れないでください。
同伴者のパッティング中は、自分も次のパットの準備をしておくと良いですが、その際も静かに行動することを心がけましょう。
これらの配慮が、スムーズで気持ちの良いラウンドにつながります。
- スマートフォンなどの電子機器は、必ずサイレントモードにする
- ポケットの中の鍵や硬貨が音を立てないように確認する
- 風が強い日は帽子や小物が飛ばないよう注意する
- パットの成否に関係なく、過剰な反応や声を出すことは控える
パット時は気遣いがポイント

パットをする際の気遣いは、同伴者にとって心地よいラウンドを左右します。
ボールマークの修復やカップ周辺の扱い方、クラブの置き場所といった些細な配慮が、ゴルフの紳士・淑女としての評価を高めます。
初心者ゴルファーの方は、スコアを気にするだけでなく、こうした気遣いも同時に身につけましょう。
日々のラウンドで実践することで、自然と身についていきます。
カップ周辺は丁寧に扱う
カップ周辺は、特に丁寧に扱うべき場所です。
ホールアウトした後、ボールをカップから取り出す際は、ピンの先端やカップの縁を傷つけないよう静かに取り出しましょう。
パターのヘッドでボールをすくい上げる動作は、カップの縁を傷める原因になるためNGです。
手を使って丁寧に取り出すのがベストです。
カップインの喜びからカップの縁を踏んでしまわないよう注意しましょう。
カップの形が歪むと、後続のプレーヤーのパットに影響します。
カップ30センチ以内は、デリケートのため、踏まない・傷つけない配慮が必要です。
ホールアウト後、カップの状態を確認し、必要であれば周りの芝も軽く整えておくと、次のホールのプレーヤーからも感謝されます。
丁寧なカップの扱いは、ゴルフコース全体への敬意の表れとも言えるでしょう。
クラブは邪魔にならない場所へ
パット時の使わないクラブの置き場所にも配慮が必要です。
基本的にクラブはグリーン上には置かず、グリーン外の適切な場所に置くのがマナーです。
グリーン上に置くと芝を傷めるだけでなく、同伴者のパットラインやスルーラインの妨げになる可能性があります。
特にクラブヘッドが、グリーンに触れないよう注意が必要です。
クラブは次のホールへ移動する方向の動線上に置くと効率的です。
ホールアウト後にクラブを取りに戻る手間が省け、プレーファーストにもつながります。
同伴者のパットを見守る際は、手に持ったクラブが視界の邪魔にならないよう気をつけましょう。
このような細かい気遣いが、スムーズで気持ちの良いラウンドを実現します。
- パター以外のクラブは、グリーン上に直接置かず、グリーンエッジに置く
- スタンドバッグは次のホールへの移動方向を考慮した位置に置く
- ボールを拭くタオルなどの小物もグリーン上に放置しない
- プレーの際には、音を立てないように静かに待つ
ホールアウト後もスマートに行動する

パッティンググリーンでのマナーは、ホールアウト後も続きます。
ホールを終えた後の行動も、ゴルフマナーの重要な一部です。
特に初心者ゴルファーが見落としがちなのが、スコアカードの記入タイミング、次のホールへの移動のスピードです。
これらのマナーを身につけることで、同伴者だけでなく後続組からも評価されるゴルファーになるでしょう。
小さな気配りの積み重ねが、スムーズなラウンド進行に繋がり、全員が気持ちよくプレーできる環境を作ります。
スコアの記入はグリーン外で
ホールを終えた直後に多くの初心者が陥りがちなのが、グリーン上でスコアカードを取り出して記入することです。
これはスロープレーの原因となるマナー違反です。
スコアの記入は必ずグリーン外で行いましょう。
理想的なのは、次のティーグラウンドでの待ち時間や乗用カートの移動中にします。
グリーン上でスコアを記入する行為は、後続組の進行を遅らせます。
スコアはグリーンを出てから、記入する習慣をつけましょう。
同伴者と一緒に確認しながら記入すれば、スコアの間違いも防げます。
次のホールへ素早く移動

ホールアウト後は、次のホールへ素早く移動することも重要なマナーです。
特にゴルフ場が混雑している日は、一人でも遅れると全体のプレーペースに影響します。
グリーンを出る際は、使用したクラブや小物をすぐに片付け、乗用カートや歩行でスムーズに移動しましょう。
自分の荷物だけでなく、グリーン周辺に忘れ物がないか確認することも大切です。
グリーン上の違反対応は穏やかに伝える

ゴルフのパッティンググリーンでは、知らず知らずのうちにマナー違反をすることがあります。
特に初心者ゴルファーは覚えることが多く、うっかり違反してしまうこともあるでしょう。
そんな時、どのように対応するかも重要なマナーの一つです。
高圧的な態度で指摘すると場の空気が悪くなり、ゴルフの楽しさが半減してしまいます。
違反を見かけたら、穏やかな口調で個別に伝え、初心者には楽しさと敬意を持って接することが大切です。
よくあるマナー違反
パッティンググリーン上でよく見かけるマナー違反にはいくつかのパターンがあります。
最も多いのが「パッティングラインを踏む」行為です。
ボールとカップを結ぶラインや、その延長線上を踏むことで、芝の状態が変わり、パットに影響を与えてしまいます。
次に多いのが「ピッチマークを直さない」ことです。
自分のピッチマークを放置すると、グリーンの品質が低下します。
「グリーン上を走る」「スパイクを引きずる」「同伴者がパットしている時に動く・話す」なども頻繁に見られます。
さらに「クラブをグリーン上に置く」「スコアカードをグリーン上で記入する」といった、プレーの流れを妨げる行為も多いでしょう。
これらのマナー違反は、知識不足や余裕のなさから生じることなので、優しく教えてあげることが大切です。
注意は個別に優しく
マナー違反を見かけた場合、その場で大勢の前で指摘するのはNGです。
恥をかかせるような注意の仕方は関係を悪化させ、楽しいラウンドを台無しにしてしまいます。
代わりに、少し離れた場所で二人きりになったタイミングで、「ちょっとアドバイスしてもいいですか?」と切り出すのがベターです。
「実はグリーン上では○○というマナーがあるんです」と、優しく丁寧に説明しましょう。
決して上から目線ではなく、同じゴルファーとして助言する姿勢が大切です。
「自分も最初は間違えていました」など、相手が受け入れやすい言葉を添えると効果的です。
注意する際も、具体的な改善方法も一緒に伝えると、相手も実践しやすくなります。
このような配慮が、気まずさを最小限に抑え、お互いを尊重する関係を築きます。
初心者には楽しさと敬意を伝える
ゴルフ初心者に対しては、マナーを教えると同時に、ゴルフの楽しさや奥深さも伝えることが重要です。
単にルールやマナーを押し付けるのではなく「このマナーを守ることで、みんなが気持ちよくゴルフを楽しめるんですよ」という意図を伝えましょう。
初心者がマナーを守ろうと努力している姿は積極的に褒めることも大切です。
「ピッチマークの直し方、上手ですね」「ラインを避けて歩く意識が、素晴らしいです」など、良い点を認めることで、マナーを学ぶモチベーションが高まります。
マナーの本質は「相手への敬意」であることを伝え、ゴルフを楽しむための共通認識だと理解してもらいましょう。
まとめ
パッティンググリーン上のマナーは、ゴルファーの印象を左右する重要な要素です。
ピッチマークの修復、パッティングラインへの配慮、静かな行動など、細かな気遣いが楽しいラウンドを実現します。
特に注意したいのは、スルーラインの認識や影の配慮、グリーン上での立ち位置です。
これらのマナーを身につければ、同伴者から信頼され、「また一緒にプレーしたい」と思われる好感度の高いゴルファーになれるでしょう。
整備された美しいグリーンを守る責任は、すべてのプレーヤーにあります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。